天売島

◎島の将来ビジョン

「323倍楽しい島、天売島〜323人の島民も来島者もみんなが主役の楽しめるしま〜」

◎ビジョン実現のためのプロジェクト案

インターンシップ・企業研修聖地化プロジェクト

島マルシェ、フェスによる「人口10倍の日」プロジェクト

体験メニュー魅力化プロジェクト

漁家民泊による教育旅行生の誘致事業

しまキャンプ快適化プロジェクト

みんなの「しゃべりば」地域食堂プロジェクト

島民総動員「島ガイド養成」プロジェクト

世界でここだけ「ウトウ」観察新プランプロジェクト

島名 天売島(北海道、羽幌町)
人口
(平成28年4月1日時点)
318人
位置 北海道留萌振興局管内の苫前郡羽幌町にある羽幌港の西30kmの日本海に浮かぶ島です。島の東側に並んで浮かぶ焼尻島とともに羽幌町に属しています。羽幌の町から定期船があります。
面積 5.50km2、周囲約12㎞
地勢 北海道本島に面した東海岸に人が住み、高さ100m以上の断崖が続く西海岸には、8種類百万羽の海鳥が3月から8月にかけて、繁殖のために巣をつくります。この規模の島で、これだけ多くの海鳥が繁殖し、また人間が生活を営んでいる例は世界的にあまりなく、貴重な「共生の島」といえます。
気候 年平均気温は7度前後で北海道平均と大差はありませんが、沿岸に対馬暖流の影響を受け比較的温暖なため寒暖の差が少なく、とても過ごしやすい環境です。
産業 基幹産業である漁業では、ウニ、タコ、カレイ、ヒラメなどの新鮮な海産物が有名です。観光は、「暑寒別天売焼尻国定公園」内に位置し、天然記念物「海鳥繁殖地」ではウトウやケイマフリなど8種類100万羽の海鳥が飛来し、バードウォッチャーの聖地として国内外に広く知られています。島民有志で組織する一般社団法人天売島おらが島活性化会議では、自然に恵まれた環境を生かし、シーカヤックや星空観察、ウニ獲り体験などの体験アクティビティの提供や、地域資源を生かした産品の商品開発に取り組むなど、未来を見据えた島おこし活動に精力的に取り組んでいます。

天売島へは北海道羽幌町の羽幌フェリーターミナルからフェリーまたは高速船で。フェリーは約1時間半、高速船は約1時間で到着します。※季節によって運航スケジュールは変更

定員300名のフェリー「おろろん2」で出港!焼尻島を経由して、天売島へ向かいます!

天売島の入り口、天売フェリーターミナルでは島の象徴・オロロン鳥というウミガラスの巨大なオブジェが出迎えてくれます。ちなみに島ではフェリーターミナルのことを「駅」と呼んでいます。
※巨大オブジェは老朽化に伴い、9月いっぱいで残念ながら撤去。

地面にあいている穴は海鳥・ウトウの巣。繁殖期になると島に帰ってきます。80万羽が天売島にいると言われていて、5月〜8月上旬まで、80万羽の迫力の帰巣シーンを見ることができます。

天売島のシンボル・赤岩。この付近がオロロン鳥の繁殖地。

赤岩を望む赤岩展望台。オロロン鳥やウトウの帰巣などを見ることができます。

断崖絶壁が続く西の海岸線を一望できる、島の北側にある観音崎展望台。
ここでは、満天の星空を体験できる星空ツアーなどを行っています。

島で唯一の高校・天売高校は定時制。現在は、高校魅力化に取り組んでいて、今年度は東京・札幌からの島外留学生も通っている。生徒たちは日中は島で働き、夜間に授業を受けている。

島に2軒ある商店では、天売高校の生徒や先生が授業終了後も買い物ができるように、22時まで営業。

磯遊びや海水浴などが楽しめるロンババの浜。ちなみにロンババの名前の由来は「昔、ロンという犬を飼っていた婆がいた浜だから」とのこと。正面に見えるのは焼尻島。

島のビジョンやプロジェクト案などを考えるワークショップでは、天売島おらが島活性化会議や若手漁師、天売高校の先生など11名が参加。

積極的に意見を出し合ってもらいながら、
「323倍楽しい島、天売島〜323人の島民も来島者もみんなが主役の楽しめるしま〜」
というビジョンなどを決めました!

「なにもないこと」が魅力になりうる。
海鳥と人が共生する天売島でできる体験。
齊藤暢さん/天売島

北海道北部の西海岸にある離島「天売島」で生まれ育った齊藤さん。海鳥と人が共に暮らす島の魅力とは。若い人たちを中心に、精力的に町を盛り上げるようになったきっかけとは何か。お話を伺いました。

ー天売島での生活を教えてください

天売島は、本土の羽幌町という場所から、フェリーで1時間30分程度の場所にあります。小さい頃は、いつも海に行って泳いでいましたね。今はもう時効だと思うので話しますけど、ただ泳ぐだけじゃなくて、友達とこっそりウニやアワビを捕って、浜で食べるのが一番の楽しみでしたね。冬場は、裏山でスキー。リフトやコースなんてありません。かっこよく言えばバックカントリーみたいなものです

あと、鳥を見るのが好きでした。天売島は、世界でも類を見ない、海鳥と人が共生している珍しい場所なんです。島の東側に人が住み、西側の崖に8種類100万羽の海鳥が暮らしています。

そんな環境ということもあって、珍しい鳥が島中で見られます。日本では発見されたことがない鳥を見ることもできます。小学校の頃、野鳥クラブに所属して珍しい鳥を探したものです。珍しい鳥を見つけると先生が写真に撮ってくれて、翌日の新聞に出ることもありました。すっかりバードウォッチングにハマってしまい、小学校6年生の時にお年玉でカメラを買ってから、今でもその趣味は続いています。

ー島を離れたいと思ったことはありますか

高校生の頃は、島を離れて本土で下宿していました。島にも高校はあるのですが、高校卒業後は家業を継いで天売で暮らす予定だったので、一度は外を見ておこうと思ったんです。私の家は、祖父の代から続く運送屋で、長男の私が継ぐことになっていたんですね。

高校卒業後に島で働き始めたのですが、人口減少の影響で、運送屋だけで生活するのは厳しくて、夏場は観光バスを運営したり、冬は除雪の仕事なんかもするようになっていました。働き始めてからしばらくの間は、島を出たいと思っていましたね。高校の友達は都会で働いている人が多くて、友達から話を聞いたり、たまに島外に遊びに行った時に、都会の方が刺激的だと思ったんです。

それでも、実際に島を出るほどにはいたらず、数年で外への憧れは落ち着きました。趣味でジェットスキーを始めたのがきっかけです。天売島のすぐ近くにジェットスキーのゲレンデがあったので、島で暮らすほうが都合が良かったんです。暇を作っては練習して、大会にも出ました。

さらに、結婚して子どもが生まれてからは、考え方が大きく変わりました。子どもを育てる上では、ある意味ではどこにいても同じような気がしてきたんです。どこにいたって大変なことはあるし、それを言い出していたらきりがなくて。それよりも、自分がいる環境で楽しみを見出すことの方が大事だと感じるようになったんです。

そう考えるようになってからは、むしろ、天売島の魅力はどこなのか、外から来る人の目線を意識するようになりましたね。私自身、家族旅行で沖縄に何度か足を運んだ影響もあると思います。沖縄に行くときって、そこにある「何か」を求めているよりも、島でゆったり過ごすことに意味があったりします。そう考えると、天売に来る人も、何かを提供してほしいわけじゃなくて、「のんびり過ごしたい」と思っているのかなって。何もない島ですが、むしろ、そういうゆっくりとした時間を提供することの方が、求められてるんじゃないかと思い始めたんです。

ー今はどんな活動をしているんですか

会社で運送業や観光業を提供しつつ、一般社団法人天売島おらが島活性化会議を立ち上げ、島全体を盛り上げる活動をしています。天売島は雇用がほとんどなくて、島の人口はどんどん減っています。このままいくと、子どもたちの世代はみんな島外に出てしまって、自分たちがこの島に住んでいた最後の世代なってしまう。なんとかしてその状況を防ぐため、若い連中で立ち上がったんです。

大きなきっかけは、3年ほど前に島根の海士町に行った視察旅行です。最初は、遊び半分な気分だったんですけど、実際に行ってみると、海士町の取り組みはものすごく刺激的だったんです。島を盛り上げようという空気が島全体に漂っていて。自分たちは言い訳ばかりして、何もしてこなかったと気づきましたね。

特に印象的だったのは、「ないものはない」と書かれたポスター。「便利なものはないかもしれないけど、大切なものがある」といった意味が込められていて、はっとしましたね。それまで、天売島には何もないと思っていたんですが、発想を変えれば「何もないこと」自体が魅力なんだって気づいたんです。

3日間の視察は、遊ぶ暇なんてまったくありませんでしたね。それで、帰ってすぐに島で報告会を開きました。みんなすごく熱き気持ちになっていて、これから島で実現したいことを10個ずつあげるようなワークショップを開きました。実現性は無視して、とにかくやりたいことをあげたんです。

それで、最初にやったのは、レトルトカレーの販売でした。海士町には、地元で食べられているサザエが入ったカレーがあって、それを「島じゃ常識サザエカレー」として販売していました。天売でも、普段からカレーにアワビを入れたりしていたので、試しに、アワビを入れたレトルトカレーを500パックほど作ってみたんです。そしたら、すぐに完売。それから、新しいことにどんどんチャレンジするようになりましたね。

ー齊藤さんが感じる島の魅力を教えてください

まずは、ウニとか、タコとかの海産物。これは本当に美味しいですね。あと、海鳥を間近に見れること。意外と知らずに観光に来る方も多いのですが、夕方くらいになると80万羽の鳥が一気に巣に向かって羽ばたいているシーンは、本当に圧巻です。

また、個人的は、珍しい鳥を見れることが魅力ですかね。島が小さい分、自分から動かなくても、珍しい鳥の方から勝手にやってきてくれるんです。それで、日本にはいない鳥を見つけたり、見つけた鳥の写真が新聞に載ったり、そういうことが毎年ありますから。

最近では、今までなかった体験型の観光を取り入れるようにしています。例えば、シーカヤックを導入して、崖の上からではなく、海から間近に海鳥を見れるようにしました。また、海鳥がいなくなったシーズンは、星空ツアーをやります。西側のエリアは電気が一切通ってないので、展望台から見ると水平線まで真っ暗で、ものすごい量の星が見れるんです。田舎なので、星が綺麗に見えるなんてどこも同じかな、と思っていたんですけど、星空のガイドをしている方に、こんなに暗い環境は中々ないと言われたとき、これはいい場所なんだと初めて気づきました。

自分たちの持っている良さって、自分たちでは中々気づくことができません。だからこそ、島外の人に積極的に関わってもらって、「島の魅力」を一緒に発見していけたらと思います。そして、観光に来る人に、それぞれの人に合った濃い体験をしてもらいたいですね。

齊藤 暢さん
1973年生まれ。北海道羽幌町出身。一般社団法人天売島おらが島活性化会議の代表理事を務める。